先日トロント大学で
「金正日亡き後の北朝鮮と東アジア」についての
討論会があった。
3人のパネリストが今後の北朝鮮と東アジアについて
各自の意見を述べ、その後質問を受けるというフォーマットで
討論会が進行した。
金正日死亡という昨年末のビッグニュース。
まっさきに私の頭に浮かんだのは
拉致された日本人のことだった。
金正日の死により拉致問題は進展するのか、
それとも現状維持なのか、いろいろ思いをめぐらした。
拉致されたすべての日本人が
祖国に帰ってこられるようにと
願わずにはいられなかった。
これは私だけの思いではなく、
すべての日本人の思いであると思う。
北朝鮮と拉致の問題は絶対に切り離せない。
私たち日本人にとっては当然のことである。
しかし、である。
今回のシンポジウムでは拉致のらの字もでなかった。
3人のパネリストは討論会が始まる前に
「私たちは北朝鮮の専門家ではありません」
と宣言していた。
彼らの専門は北朝鮮の周辺国の研究である。
そして、この討論会は
北朝鮮と拉致の問題を論ずものではないので
ここで拉致の話がでなくても
しかたがないのかも知れない。
しかし、パネリストの一人は
日本が研究対象のひとつであり
日本に住んでいたこともある。
拉致問題を知らないはずがない。
進行役(パネリストの一人)が、
日本のエキスパートであるこの教授に
金正日の死亡のニュースを受けて
日本政府やマスコミの対応について質問をした。
野田首相が李明博大統領と緊急会談をしたこと、
安全保障会議を開いという話をした。
私にとって目新しい話はなかったが、
他の参加者にとっては良かったのかも知れない。
話を聞いている間拉致問題が
いつ出るのかと首を長くして待っていたが
結局一言も触れないで終わってしまった。
私はなぜこの教授が
拉致の問題に触れなかったのかわからない。
討論のテーマが
「金正日亡き後の北朝鮮と東アジア」で
特に拉致問題を論ずる討論会ではないので
話す必要がなかったのか。
それとも拉致の問題にまったく興味がなかったのか。
日本を研究対象にしている教授だから
拉致の問題を少しでも話してくれるだろうと
期待した私が甘かったのか。
ほとんどのカナダ人は拉致された日本人が
今も北朝鮮に残っていることを知らない。
日本から拉致の問題を海外に発信することは大事であるが、
海外に住む私達もこの問題を
多くの人々に知ってもらう努力をすべきだと痛感した。
おもしろくない討論会だった。
でも、拉致問題の解決に向けて
私たち日本人が自分自身の問題と受け止め
大きな声を上げなければならない、
と気づかされた点では時間の無駄ではなかったと思う。

